第18章 ❄️️ 名前
《零、動けないのかい?このままだと連れていかれてしまう。》
(うん、体に力が入らないの。頭も痛くて…)
《じゃあ、任せて。》
…自分に話しかけているのは誰だ。
《まだ思い出さなくていい。辛いだろ?》
(でも…)
ドサッ
「あ?どうした?………おい。」
少女を担ぎ、1番後ろを歩いていた男が倒れている。
「おい、ガキはどうした。………気ィ失ってんのか??」
周りを見渡しても少女の姿が見当たらない。
「お、おいお前らっ!!気をつけ、ろぅぐぁ…っっ」
その声に先を歩いていた男達も異常に気付き始める。
「な、何だ?」
「ガキがいねぇっ!」
「やられたのか!?」
「おい、ここ、屋内だよな?なんで雪なんか降ってんだ…?」
気が付くと、確かに、ちらちらと雪が舞っている。
(雄英高校のUSJ、雪害ゾーン。この子をここに送ったのは間違いだったな。敵ども。)
男達が少女を警戒してキョロキョロと周りを探す。その内に、どんどん雪は強くなって行き、なぜか、風が吹く。
「ぐぁっっ!」
「ぎゃあああっ」
1人、また1人と悪くなる視界の中で悲鳴をあげ倒れていく。
「何なんだ!何処にいやがんだよ!!!」
「落ち着けぇ!!確実に近くにいる。お前ら、寄れ!」
7、8人いた雪害ゾーン担当のグループの男達だが、今立っているのはもう、僅か3人だ。
その中にいたリーダー核の男が固まるように指示を出す。
「へ、へい!っ!うぎゃ!?!?」
それに従いこちらに駆け寄って来た下っ端らしい男が倒れた瞬間。
「そこかクソガキがぁぁ!!」
リーダー核の男が、今しがたたおれた部下の方目掛け、個性を発動した。