第17章 ❄ フラッシュバック
(みどりや…、あいざわ先生…っ)
雪も立ち止まり、振り返るが。
「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号!任せたぞ。」
そう言うと相澤は、階段を飛び降りて行った。
(あ…)
1人、行ってしまった相澤の後ろ姿を思わず 追いかけようとするが、13号に止められ、腕を引っ張られる。
まだ、自分には、何もできやしないのだ。逃げて守られるしかない、子供なのだ。
13号が扉を開けるために雪の腕を離し、前へ出た。
それを見ながら、まだ少しズキズキと痛む頭を片手でおさえる。
(どうして思い出そうとするとこんなに頭が痛むの?こんなんじゃダメなのに…。立ち向かわないと、いけないのに。)
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__________私なら、助けられたのに___________
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後悔したじゃないか。
いつ?何を…?
「バスに乗っている暇はありません。扉を開けたら直ぐに、走って下さい。僕が誘導しま「させませんよ。」
ぐわぁっ…と、扉の前に現れた。先ほどまで下にいた黒いモヤの男。突然のことに誰もが息を飲み、立ち止まる。
「初めまして。我々は敵連合。せんえつながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは、」
(知ってる…!知ってる…!この声、知ってるのに…!)
思い出せない、そして彼の声が頭の中を暴れ回るように頭痛を引き起こす。
「平和の象徴オールマイトに、息絶えて頂きたいと思ってのことでして。」
ゾクゾクッ…!
あまりに生々しい、現実味のないような、あるような言葉に恐怖する。
「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ…ですが。何か変更があったのでしょうか?………まぁ、それとは関係なく…」
雪が頭痛に耐えきれず、膝を着いた時。
その頭痛の原因であるモヤが、大きく揺らめき出した。