第17章 ❄ フラッシュバック
「皆さんご存知だとは思いますが、僕の''個性''は''ブラックホール''。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」
(ブラックホールか…そういえば………)
その言葉から連想される。黒い闇。そして思い出す、あの悪夢。
「しかし簡単に…」
雪の思考は、またもや外界の音を遠ざけていく。
そういえば、あれから。あの夢の中で白い少女を見た日から、しばらくあの悪夢は見ていない。
黒闇と雪の中で、何かを。…誰かを探す夢。
探していたのは、あの少女だろうか。でも何故、探していたのか。名前も顔も知らない少女。そう、自分はあの少女を知らない…
……………本当に?
『??………う、…』
本当に、知らない?いいや、知っているだろう。白い髪の少女。それは……
(…私?)
頭痛がする。
「以上!ご清聴ありがとうございました。」
「ステキ!」
「ブラボー!!ブラーボー!!」
わっ、と生徒達から起こった短い拍手が雪を呼び戻す。
(あ、だめだ集中しよ。)
頭をぶんぶんと振って考えるのをやめると、嘘のようにスっと頭痛が消え、ふぅ、と息を吐く。
13号の話を聞きそびれてしまった。
演習場は地下に掘らて作られたようで、入口よりも低い位置にそれぞれのゾーンがある。そちらへ降りる階段付近の手すりに寄りかかって13号の話が終わるのを待っていた相澤が、授業を始めようと声をかける。
「そんじゃあまずは………」
と、そこで。
教師であり、ヒーローでもある彼の、第六感とでも言おうか。それが何か、違和感…?異物感、を感じ取った。
「……?」
言葉を切り、なんとなしに下の広場を見下ろす。