第17章 ❄ フラッシュバック
「「「すっげーーー!!USJかよ!!?」」」
レスキュー訓練の演習場。その規模の大きさは生徒達の予想を遥かに上回っていた。
『やおよろず、ゆーえすじぇーって何だっけ?』
つい1ヶ月前まで北の大自然の中の、陸の孤島(※)の田舎に住んでいた雪が隣にいた長身の女子に尋ねる。(※都会から遠く離れた地域)
「ハッ、てめぇUSJも知らねぇのかよ。」
反対側にいる、八百万とそう変わらない高さの爆豪が呆れたような顔をする。
「爆豪さんは知っておりますの?ゆーえすじぇー。」
「っなんでてめぇら知らねーっんだよっ」
どうやら博識の八百万も知らないらしい。
聞いたことはある気がする。が、自分には全く縁のなかった言葉だったようで、思い出す事が出来ない。
『何かの頭文字かな?』
「そう考えるのが妥当ですわね。」
あれかな?これかな?と考察する雪。それに八百万が冷静で的確なツッコミ(指摘)を入れるという小コントのような、だがあまりにくだらないやりとりが長々展開されそうになっていたが、雪が4つ目に思いついた候補を口にしようとした時、誰かが前方で話し始めたため、2人は自然と口を噤む。
「水難事故、土砂災害、家事……エトセトラ。あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。」
そこに居たのは宇宙服のようなコスチュームを纏ったヒーロー。
「その名も……」
「(U)ウソの(S)災害や(J)事故ルーム!!」
「『あ~なるほど。』」
雪と八百万はそういう事か、と顔を見合せスッキリした表情で微笑み合った!
(なんだコイツら…)
隣で起きている茶番のような誤解を解いてやろうという気は起きず、小言を話し始めたスペースヒーロー13号をつまらなそうに見ながら爆豪は大きな欠伸をしたのだった。