第3章 ❄ 悪夢と繋がっているもの
東京、郊外のビジネスホテル。
ビジネスホテルにしては、なかなか優雅な朝食だった。
制服を見にまとい、コートを羽織る。
『じゃあ先行くね、お母さん。』
「うん、リラックス、リラックスだよ。頑張ってね。」
『はーい。行ってきます!』
ホテルを出て、目指すは雄英高校。
母は今日、東京の観光スポット巡りをするらしい。
娘の大切な日にそれはどうなんだろうかと思ったが、まぁ酪農やってたら滅多に道外(※)でられないし、待ってるだけも暇か、と考えながら昨日下見した道を早足で進んでいく。(※北海道の外)
『こっちは暖かいな。』
3月なのに雪の積もっていない道。
『マフラーしなくても平気だ。』
高層ビル、電車、地下鉄。
見慣れないものだらけだ。
静かな田舎の実家とは大違い、
色んな音で溢れている。
『まずは地下鉄。』
入り口から乗り場へと降りてゆく。
次は2分後に来るらしい。
………………本数多いな。
とにかく、珍しい物がたくさん。
昨日下見したから2回目だが、慣れるはずもない。
きょろきょろと見回してみる。
ふと、トンネルの闇が目にとまった。