第17章 ❄ フラッシュバック
心操がよろよろしていたのが面白くて、くすくすと笑っていると、正面にいた彼に、「行くぞ」と声をかけられる。
『うん。あ、もう皆出てきたね。』
バスの前に着くと委員長の飯田がここぞとばかりに声を上げている。
「バスの席順でスムーズにいくよう番号順に二列で並ぼう!!」
その声に応えてクラスメイト達は並んでバスに乗り込んで行った。
❄️❄️❄️
発車した1-Aの生徒と相澤を載せたバスの中。
「こういうタイプだったくそう!!!」
「イミなかったなー」
飯田が想像していたのは小学校、中学校でも乗ったことのある観光バス。二列と、通路を挟んでもう二列あるやつだ。
しかし乗ってみると、前半分が両の窓際に背を向けて向かい合って座るよう椅子が着いており、後ろ半分が二列 二列に並んで座るようになっている、公営バスでよく見かけるタイプのものだったのだ。
嘆く飯田の背中をその隣に座った芦戸がヨシヨシとさすっている。
雪がバスに乗ると、皆好きな場所を選んで座っていた。
前半分の向かい合う席は残りひとつだけ。
出席番号が前後の耳郎と雪が既に座っていた芦戸に呼びかけられて立ち止まり、3人で少し会話を交わしている間に全員が乗り込んだようで、残り開いていた席は後ろ側の爆豪の隣か轟の隣だけだった。
前にいた耳郎が爆豪の隣に座ったため自然と雪は轟の隣に座る。
『あ、とどろき。よく見たら今日頭隠してないね。』
座るなり話しかける。
「あぁ、レスキューなら要らねえからな。」
轟も普通に応じる。
彼女が近くに来た時は必ずと言っていいほど何か話しかけられる。2人の間に無言の時間はほとんどない。これは轟にとって珍しいことだが、この1ヶ月で大分慣れたものだ。
『さっきは気が付かなかった!』
「他所の授業が気になってたのか。」
『授業ていうか、友達がいて。』
入学してまだ間もないと言えるこの時期にもう他のクラスにも友人を作っているらしい。自分には考えられない。
『…とどろき、私、そっちの方が好き。』
「…っ、?」
なんのことか分からないといった表情をする轟に少し笑って。