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絶対零度のさらに向こうへ❅*॰ॱ【ヒロアカ】

第17章 ❄ フラッシュバック





『ばくごう、売店行こっ、チョコレートがいいな。』
「あぁ!?誰も奢るたぁ言ってねェ!!」


すっかり上機嫌な雪の頭の中は甘いお菓子のことでいっぱいで、反対にしこたま不機嫌な爆豪がどれだけ怒鳴って見せてもどうじない。


「漢らしくねぇぞ爆豪!」
「潔く負け認めろよー!」

加えて切島と上鳴が面白がって茶化す為、周りから見た彼は悔しがって喚く子供のようだ。

他のクラスメイト達からも笑いが起こっている。そんな状況にひやひやしているのは彼の子供時代から中学時代を知る緑谷だけである。




「俺ァこの白髪がうるっせーから仕方なくやってやったンだよ…それがなんでチョコまで買ってやんねぇといけねんだアァン?」

大声を出し続けハァハァと肩で息をする爆豪が、流石に疲れたのか眉をピクつかせながら数分ぶりに普通の声量で放った言葉。すると今までるんるんとしていた雪の表情がむっとする。

『あーばくごうまた白髪って言う!その呼び方やだ!』

そういえば。こいつは前にもと、気が付いた爆豪がニヤリとする。

「うっせー白髪。前より毛量減ったんじゃねぇか?」
『へ、へへ減ってないもん!ばくごうこそいつもそんなに怒ってたら高血圧で早死にしちゃうし!』

((雪それは対抗じゃなくてただ心配しちゃってるだけなんだよなぁ))


『もう!チョコレートはいい!ばくごう、私の名前、ちゃんと呼んで。知ってるでしょ?』
「あぁん?知らねーなぁ。」

形成が逆転しニヤニヤと悪い笑みを浮かべながら雪を見下ろす爆豪。その身長差にも悔しさを覚えてきた彼女は、うぅ、と少し目尻を潤ませ睨み返した。


















その表情に。

ん、と一瞬息が詰まり、上がっていた口角が少しずつさがっていく。




自分の目をじっ、と睨む彼女の潤んだ目が。

窓から吹く優しい風に揺れる、自分が馬鹿にした柔らかそうな白い髪が。

きゅっと結んだ薄く小さな口と、少し赤らんだ頬が。









彼にこんな感情を抱かせる。






















かわいい。












『ふんだ。』


ぷい、と彼女がその顔を背けてしまった時、






我に、帰る。


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