第16章 ❄️ 風
『しんそ、なんで「何考えてたの?」
ぅ、先に質問されてしまった。
「その、雪の結晶が前より大きく作れるようになってて、またお父さんとお母さんに褒めて貰えるなって…」
考えてました、とだんだん声を小さくしながら正直に答えてしまう。恥ずかしい。褒められること想像するなんて、子供じゃないか。と言ってから気が付く。
「ははっ、なるほどな」
『しんそ~…』
なかなか笑いやまない彼に涙目で、もうやめてくれと訴えかけると、悪い悪い、とようやく落ち着いた心操に、もぉー、と膨れて見せる。
「怒るなよ。表情がよく変わるんだな、雪は。」
『そうかな?………し、しんそうも結構明るいんじゃん?』
なんというか、彼はあまり感情を表に出さないタイプだと感じていた雪。思ったより爽やかに笑う姿にちょっと驚いて。
「明るい……か…」
(初めて言われたな、そんなこと。やっぱ、変だ、こいつ。)
『……ねぇ、しんそうの個性も教えてくれる?』
「っ…」
(…あれ?)
急に、それまで穏やかな表情をしていた少年の顔が一瞬で曇る。
それに気付き少し心がザワつく雪。もしかしたら、言いたくないのかな。コンプレックス…なのかな。あれ、またこの…誰かに似てる感じ…
「俺の個性は…」
言い淀む…が。
『私、しんそうのこともっと知りたい。教えて!』
とびっきりの笑顔で。
少年は大きく目を見開く。
「洗…能。」
恐る恐る、口にする。
(なんだ、俺も、おかしぃな。)
こんなに相手の反応に緊張するのは、初めてだ。
。°.。❅°.。゜.❆。・。❅。。❅°.。゜.❆。・。。❅°.。゜.
___________悪ィことし放題じゃんか!___________
。°.。❅°.。゜.❆。・。❅。。❅°.。゜.❆。・。。❅°.。゜.
彼女も、同じことを思うだろうか。
こんな根暗な俺を。
明るいだなんて言う君は。
根暗なくせにヒーローになりたいだなんて。こんな敵向きな個性の分際で夢を見る俺に。