第15章 ❄ ヒーローみたい?
❄❄❄
「バウバウッ」
シロが羊達を小屋の中へと誘導していく。
『お父さん、私まだ外で遊びたい。』
「え、うーんもう暗いしなぁ………そうだ!零、家の中で面白いものを見せてやろう。」
『え!なになに!?』
「帰ってからのお楽しみだ!」
『お父さん!面白いものって何?』
「こっちにおいで。」
絨毯の上にあぐらをかく父。そこの上に背中を預けて座る。
「手を出してごらん。」
『こう?』
両手のひらを上に向けて出すと、父はそうだ、と言い自分の手でその手を上から覆う。
そして数秒して父が手を離した時、そこに現れたのは。
『冷たいっ』
「見てごらん、零。エゾリスだ。」
『わあぁ!』
小さな少女の手のひらに、もっと、小さな小さな白いリス。
『動いてる!』
しっぽや首を、キョロキョロと動かしている。
かわいい!と顔を近づけると、リスはぴょんっと床に飛び降り、グルグルと走り出した。
『お父さん!凄い!お父さんが作ったの?』
「ああ、ちょっと難しいんだがな。凄いべ?」
『わやー!!!』
父の足から降りてぴょんぴょんとはねて喜ぶ娘。
興奮して無意識に、細かい雪を部屋に降らせる。
「零は上手に個性を出せるから、お父さんより早くできるようになるよ。」
『やったー!!』
「おい起きろ、雪。」
『お父さん…?』
「誰がお父さんだ。」
『あいでっっ!!』
おでこに鋭い痛みを感じ、ばっと起き上がる。
『……………!』
外はもう真っ暗。時計の針は18時20分をさしている。
「下校の時間だ。」
『あいざわ先生!すみません!私…』
(お父さんって言っちゃった……)
かあぁっと顔が熱くなる。
それを見た相澤ははぁ~っとため息。
(う、恥ずかしい…)
それにまたデコピンされたみたいだ。