第15章 ❄ ヒーローみたい?
ぐっと両手を握る雪に驚く切島。
「えっ、俺も?」
『うん!私は自分のことで精一杯だったのに。2人は凄い!ヒーロー!!』
明るい笑顔で片方の拳を上にあげる雪。
『ご飯食べて午後の授業、頑張ろー!!』
「おー!!」
上鳴も真似して拳をあげる。
(雪…………。)
手を上げたままの2人が笑顔で切島に視線を向ける。
(弱気になるなんて、漢らしくねぇ!)
切島もニッと笑い。
「うおー!!」
2人と共に拳を上げた。
彼らと一つ間を空けて横に座る口田。
引っ込み思案な彼はぴょこぴょこと汗をかきながら眺めるのであった。
6時間目、学活。
「でっでは他の委員決めを執り行って参ります!」
緑谷と八百万が前に立ち進行を務めることとなるが。
「けど、その前に、いいですか!」
学級委員長の緑谷から提案がされる。
「委員長はやっぱり飯田くんが良いと…思います!あんな風にかっこよく人をまとめられるんだ。僕は…飯田くんがやるのが正しいと思うよ。」
突然の提案に一瞬、固まる生徒達であったが。
『みどりやが言うならそれもいいと思うよ。私もいいだなら任せられる。』
最初に声を上げたのは雪。
「いいんじゃね!!飯田食堂で超活躍してたし!!緑谷でも別にいいけどさ!」
切島も賛成の声をあげる。
「非常口の標識みてえになってたよな」
「うんうん、でも凄かった!」
「昨日の訓練でも成績良かったしね。」
ザワザワと盛り上がる教室。
「皆……………」
飯田は目を瞑り下を向く。
「何でもいいから早く進めろ…時間がもったいない」
「「「ひっ!!!」」」
相澤芋虫の睨みで生徒達が静まると、飯田が立ち上がる。
「委員長の指名ならば仕方あるまい!!」
「任せたぜ非常口!!」
「非常口飯田!!しっかりやれよー!!」
『非常口委員長!!』
余程嬉しいのか、若干の茶化しを気にも止めず飯田は任せたまえ!!と堂々と緑谷と入れ替わる。
こうして1-Aの飯田非常口委員長が誕生したのだった。