第15章 ❄ ヒーローみたい?
「おお、テンション高ぇな!そうだったのか!そしてなんで君まで得意気なんだ!!」
ビシッとポーズを決めて言う上鳴と雪に驚きながらもそのテンションに乗っていく切島。
飯田を真似てピーンと指先まで伸ばした腕で上鳴にツッコミを入れる。
『あははは!いいだだ!上手い!』
「ははっ、切島ノリいいな!」
「おう!」
その3人の後ろに並んだのは同じクラスの口田。
引っ込み思案な彼は少しだけ間を空けて。
ぴょこぴょこと汗をかいているのだった。
ウウ~~~~~~~!!
『…警報?』
3人の中で最初に食事を受け取った雪が席を確保した時、校舎中に不吉な音が鳴り響く。
《セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい。》
『…………うわっ』
放送されると同時にパニックになる食堂。
体の小さな雪は容易く出口へと押し寄せる人の波に飲まれてしまう。
『とっとっとっと…………うー……』
押されて潰されまた押され……
全く身動きが取れない。
『あの!そんなに慌てても…いてっ』
冷静な雪は周りに呼びかけようとするがザワザワと大騒ぎの中その声も体と共に埋もれてしまう。
どうしようもなくただ流れに身を任せるが、痛い。
前からも後ろからも押されて顔をゆがめていた時。
パシッと右手を掴まれ、グイッと誰かに引っ張られる。
「雪だいじょぶ!?ほら、こっちの窓の縁のとこあがっちゃえ。」
『か、かみなり、ありがとう。』
自分を見つけてくれたのは上鳴。
そして彼は正面に密着する彼女の脇に手を添え、ぐいっと持ちあげた。
(!!力持ち…)
そのまま言われた通り窓のへりに足を引っ掛けて、みんなよりも少し高い位置に立つ。足が窓に押されて動けないことに変わりはないが、先程までよりも大分楽だ。
上鳴はもみくちゃにされひょっとこになりながらもその場から動かず、雪が落ちないように足を支えている。