第15章 ❄ ヒーローみたい?
気づかれない様にチラチラと雪を見てしまう切島は一つ決意する。
静かな時は美しい、しかしマイペースで無邪気、表情がころころ変わる彼女。かと思えば昨日や実技試験の時のように頼もしい一面もある。
(もっと雪のこともっと知りてぇ。昼、食堂誘おう。)
❄❄❄
「雪!!食堂一緒に行かね?」
『かみなり、いいよ!行こう!』
昼休み、切島の決意は果たされず。
授業が終わってスマホを開いた彼女に声をかけたのは、切島の前の席、雪の斜め前の席の上鳴だった。
(行っちまった…)
一歩、踏み出せない自分。
これでは中学の時と同じじゃないか。
(''男''にならねぇと)
[零、おはよ!ごめんね、夢の件なんだけど、お母さんもお父さんもちょっと分からないの。]
母からの返信。
(手がかりなしかぁ、ま、一旦忘れよう。夢だし。)
上鳴と並んで食堂へ向かう。
「雪何好きなん?」
『なんでも好き!』
「好き嫌いなし!いいね!俺も!」
『かみなり偉い!』
「だろ!?」
『私も!偉い!?』
「超偉い!!」
いぇーい、とハイタッチをして笑う。
『あははは、かみなりノリいいね!』
「そーなのそーなの!俺マジノリノリだから。俺ら気、合うかもな?」
『うん!』
再び、いぇーいとハイタッチする。
他愛もない話をしながら食堂へ到着し列に並ぶ。すると後ろから2人に声がかけられる。
「上鳴、雪!俺も一緒にいいか?」
「切島じゃん!いいぜいいぜ!」
『きりしまも食堂派だったんだ!したっけ一緒に食べるべ!』
快く受け入れてくれた2人にほっと胸を撫で下ろす切島。
「そういや雪ってさ、もしかして地方出身か?イントネーションがちょっと珍しいっつーか、したっけとか聞き慣れねーし。」
切島が尋ねると答えたのは上鳴。
「聞いて驚け切島ァ!なんと雪は北海道出身なんだ!」
『いかにも!!そして私は寮生!!従ってお弁当はもってこれないのだ!!』