第15章 ❄ ヒーローみたい?
『あ!とどろきおはよ!えっと、何してるの?』
「熱があるんじゃねえかと思って冷やしたんだが…」
『熱?ないない、元気だよ?あ、』
何故急にそんなことを気にするのか、と疑問に思うが、正面にいる八百万との会話の途中だったことを思い出す。
『やおよろずごめん、あのね、正直考えたことなかった。』
「え?ああ、雪の結晶のデザインの話ですわね。」
うん、と頷いたところで、2人だけだった教室が随分賑やかになってきたことに気が付く。
『あれ?いつの間にみんな来てたの?』
瀬呂と切島は顔を見合わせて目をぱちぱちさせ、八百万は眉を下げあはは、と苦笑いをするが雪が見たのは時計の方。
『あ!もうこんな時間だ。じゃあ私、席戻るね。』
席に着いて思考を再開させる。
(でも形状を上手く変えられたとしてもあんまり役に立たないよなぁ………)
それよりも八百万のように、武器になるような形にできたらなと羨む。
(分子構造か……………)
この世の物は全て分子からできている……………
(……………雪1つで作れなくても…………)
どうせ作れるのは六角形の雪だけだし、大きくても10センチ程度だ。
(小さな雪をいっぱい集めて形にすればいいんじゃ…………!!)
そうすれば八百万のように、原料は雪だが色んな形にできる!
ガタッ!!っと勢いよく立ち上がる。
「どうしたの雪?」
(っしまった、恥ずかしい…)
『ごめんじろう、なんでもない。えへへ。』
恥ずかしいが大発見、嬉しい。思わず笑みがこぼれる。
声をかけてきたのは前の席にいる耳郎。だが周りの者達も不思議そうにこちらを見ている。
(また自分の世界入っちゃった……)
と反省しながらゆっくり席に着くと、耳郎に何か差し出されていことに気が付く。
(ん?…あ、もうホームルーム始まってたんだ)
後ろに回すのかと周りを見て理解し、耳郎から小さな白い紙を受け取り1枚取って残りを後ろの瀬呂へと渡す。
しかしこれは何に使うのか。全く話を聞いていなかったため困惑する。
再び周りを見ると何か書いているようだ。