第14章 ❄️ 知りたい
その場は数秒間停止する。
雪も真剣な目で2人を見ている。
そして、首だけ緑谷に向けたままだった爆豪は、ふらりと、その体を彼へ向ける。
「なんだそりゃ…?借りモノ…?わけわかんねえ事いって…」
びくっと肩を揺らす緑谷。しかし後ずさることはない。
「これ以上コケにしてどうするつもりだ…なあ!?」
爆豪は悔しそうに体を震わせる。
「だからなんだ!?今日…俺はてめェに負けた!!!そんだけだろが!そんだけ……」
認めたくなかった。
「氷の奴見てっ!敵わねえんじゃって思っちまった…!!」
________俺がすげーんだ、皆俺より凄くない!_________
「クソ!!!」
________あのオールマイトをも超えて俺はトップヒーローとなり!!_______
「ポニーテールの奴の言うことに納得しちまった…」
_______必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!!_______
「クソが!!!クッソ!!!」
雪の姿は。自分よりも…
「なあ!!てめェもだ…!デク!!」
目元を覆った手を、下ろす爆豪。
「こっからだ!!俺は…!!こっから…!!いいか!?俺はここで一番になってやる!!!」
じわりと。目を潤ませる何か。
初めて揺れる視界。心。
「俺に勝つなんて二度とねえからな!!クソが!!」
そう言ってくるりと、校門へ向かって歩いて行ってしまった。
(ふーーーーー!!)
ほっとした緑谷。一瞬、力が抜けるが。
バビューンとオールマイトが通り過ぎる。
(!? っオールマイト!?…って……………)
安心したのも束の間。向けた視線の先にいる、小さな少女。少し嬉しそうな顔で爆豪を見ている、その横顔を見て思い出す。
___________人から授かった個性なんだ__________
(まずい…………)
爆豪とオールマイトを見てくすくすと笑っている彼女に近づき、声をかける。
「雪さん!」