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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


「またハードが続くんですか」
 の顔は泣きそうになった。
「ようやっと本題に入るわけだが、下手な奴は眼が回るだろうな」
「立体機動のことですよね」
「前転や後転を繰り返すと酔うタイプか?」
「連続すれば何となく気持ち悪い感じにはなります」
 乗り物に弱いわけではないが何回も回転すればさすがに酔うだろうと思われた。

 リヴァイの支えている手が額から頬に移動する。
「危ねぇな。まあ、これも慣れなんだが」
 フォークでを示し、
「腹減ってたまんねぇってんなら、食ってけ」
 と言い、ふかしたジャガイモをつついて口に頬張った。
 の腹は食べさせろと鳴く。また二の舞を演じることになりそうだが覚悟してサラダを口に入れた。

 リヴァイはぱくぱくと食べ続ける。
「そういやベルトはどうした」
「ベルト?」
「支給してもらってないのか? こういうやつだ」
 鎖骨下付近に通っている自分のベルトにリヴァイは指先を掛ける。の胸許にそんなものはない。

「渡されてません」
「兵服は用意したくせに肝心のベルトを支給し忘れたか、ハンジの奴は」
「珍しいところを締めているベルトですね」
 がくっと首を落としたリヴァイは、はぁぁと長い溜息をつく。
「説明が面倒だ。あとで纏めて教える」
「すみません」
 今日だけで何回謝っただろうか。

 鬱蒼と繁る雑木林だった。立体機動訓練用の小さな森の手前では見上げた。
「人工的に植林したのかな。それとも自然を利用したのかな」
「そんなこと俺は知らない。入団したときからすでに森だった」
 独り言にリヴァイが答えてくれた。構造がややこしそうなベルトを持っている。
「どうせ一人じゃつけられないだろうから特別につけてやる。ジャケットを脱いでこっちに来い」

「そのベルトは何のために必要なんですか」
 ジャケットの袖から腕を抜きながらは訊いた。
「観察力がねぇな、は。俺の腰許を見て何も思わないのか」
 留め具に通されたベルトを、しゃがんで一つ一つ解いているリヴァイの、両の腰許には金属製で作られた長方形の箱が固定されていた。箱の上部にはボンベのようなものも括られている。
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