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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


「ところでお前」急に足を止めてリヴァイは疑いの眼つきでを見た。「風呂には入ったんだろうな?」
「臭いますか? 汗は掻いてなかったからそんなに……」
 あのまま寝てしまったは、もちろん風呂に入っていない。襟を摘んで鼻に近づける。
 の動作で風呂に入っていないことにリヴァイが感づいた。汚いものを見る眼で距離を取った。

「信じられない奴だ。不潔すぎる」
「一日だけですよ。それに臭わないし、そんな眼で見なくても」
「そのシャツも昨日と同じもののように見えるが」
 ばい菌のように見られており、の顔は引き攣った。わりと傷ついていて胸にダメージを負った。
「ホントは着替えたかったんですけど、急いで支度しないと怒られると思ったから」
 訴えつつ近づくと、リヴァイが下がりながら手のひらを突き出した。

「寄るな! 汚ねぇのが移るだろう!」
「はぁ!?」とは頓狂な声を上げそうになった。大げさすぎるだろう。彼がしていることは小学校のいじめレベルだ。
「寝坊した腹いせですか、それ」
「腹いせ? ガキみてぇなくだらないことをいちいちするか。とにかく、それ以上近づくな」
 そう言い、を置いてリヴァイは足を早めた。

「それがもういじめなんだけど」
 それとも本当に不潔と思っているから、そばに寄ってほしくないのだろうか。襟許に鼻を寄せてもう一度嗅ぐ。
「いい匂いもしないけど、別に臭くもないし」
 こっそり唇を尖らせた。距離を保っては彼のあとについたのだった。

 二人が食堂につくと、朝食にしては遅い時間だったので人はまばらだった。年季を感じさせる食卓がずらっと並んでいる。
 外は明るいのに室内が薄暗かった。窓から巧く陽射しが入らないのか、全体的に木材の色が濃いからなのか、おそらくは両方が関係しているのだろう。
 厨房から香ってくるのは様様な食材が混じり合った匂いで、それが食堂に充満していた。食欲をそそる匂いにつられての腹がぐぅと音を立てる。
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