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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


 本部の二階にある閲覧室は充分な広さだった。本棚や長卓の配置が図書館を思い起こさせる。
「広いんですね」
「娯楽のための雑誌もあるけど、勉強になる本もいっぱいあるよ。武術に関するものとかね」
 武術などの参考書を読む日はくるのだろうか。高さがちぐはぐな本棚をは眺めた。

 と、ハンジが背を伸ばして上の段にある本を数冊とった。本というよりは綴じ紐で纏められた分厚い資料だ。
「これ、私が纏めた巨人に関するデータなんだ。読んでおくことを進めるね。ちまたで出回っていない情報も載ってるから」
 ハンジの両頬は紅潮していた。突き出してきた数冊の資料が、勢いに呑まれて両手を出したの手にどさっと乗る。案外重い。

「こんなに調べたんですか」呟いたは、はっと顔を上げた。「さっき団長室で巨人の研究が、って仰ってましたけど、こういうことだったんですね」
「巨人研究の第一人者といったら右に出る者はいない!」熱く言い切ったハンジは、しかし照れたように頭を掻く。「民間でいるかもしれないけどさ」

「巨人についてボク無知なんで、ぜひ読ませてもらいます」
 資料を持つ手を、はちょいと持ち上げてみせた。
 すると、なぜかハンジは熱く滾った。風呂上がりでもないのに全身から湯気が上がる。
「ほんと!? 読んだら感想聞かせてね! 疑問に思ったことがあったら、いつでも聞きにきていいから!」
 とても研究熱心な人のようだ。

 兵舎の一階にある大浴場に来た。
「ここがお風呂。掃除は当番制になってる。班で回ってくるんだけど、の所属する班についてエルヴィンは何か言ってた?」
 二つの入り口に男と女ののれんは垂れ下がっていなかった。日本ではないし銭湯でもないし、とは覗き込む。
「何も言われませんでした。教官がつくとは仰ってましたけど」

「へぇ、そんなこと言ってた? 誰が教官につくんだろうな」
「怖くない人だといいんですけど」
「私じゃないことは確かだね、さっき頼まれなかったし。まあ、上官が個人的に指導につくってのも考えられないけど」
 大きな口を横に広げてハンジは笑った。リヴァイが教官についたことをこのあと知って、びっくりしたようだった。
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