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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第3章 :魔法と逢瀬と魅惑(レトロな便箋の概要)


 触れないほうがいいと分かっているのに、リヴァイの手は勝手にの背中をそろりと撫でた。くすぐるように触れると、
「や、……ん」
 脳髄を痺れさせる甘い吐息を漏らした。

 拙いと思い、リヴァイは眉間に皺を寄せて眼を瞑った。
 遊んでいる貴族の女と同じようには扱えない。どんなに性欲をそそられてもには手を出してはいけない。一夜限りを許される女でないことは明白なのだから。彼女の思いはどうであれ、一夜限りでないならば責任を取ることで許されるのかもしれないが、生憎そういう気はさらさらない。

 ――さらさらないのに愛くるしく思うのはなぜなのか、分からない。

 男など所詮単純な生き物で、理性がストップを掛けているのに身体は自ずと動いてしまう。
 立てた膝に、リヴァイは彼女を凭れさせて引き寄せた。月光を浴びて光るイヤリングを避けて、の耳たぶを甘噛みする。
 切なげに喉を鳴らし、はふるりと上半身を震わせた。腹の下を直接うずかせてくる甘美な声がリヴァイの情欲を刺激してくる。もっと聴きたくて、熱を孕んでいる柔い耳たぶを唇で弄んでいく。

「は耳が弱いらしい」
「んッ。……そこで喋らないで」
 とが首を竦ませると、リヴァイは満更でもない気分になった。
「くすぐったいか」

 外側に傾けているの顔のこめかみに、リヴァイは唇を滑らせていく。片方の手はの胸部横を未練がましく撫でていた。手首付近に胸の膨らみが掠れており、本当は触れたくてたまらずにいた。
 すべすべの肌からは男を狂わせる催淫剤の匂い。ごく少量のようだけれど香油に混ぜられたものだろうと思う。

 眉を寄せているが、心地好く思っているのか、嫌がっているのかは分からない。けれど何かに縋りついていたいのか、リヴァイのベストをきゅっと掴んできた。
 ひ弱な仕草が愛おしいと思ってしまう。求められているのではなかろうかと勘違いしそうにもなった。
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