第3章 :魔法と逢瀬と魅惑(レトロな便箋の概要)
「……ん」
少し眉を寄せ、がリヴァイの胸の中で小さく身じろぎした。意識が戻ってきたようだ。
紐は固結びになっており、解くのに時間がかかりそうだった。ポケットから折りたたみナイフを取り出して、クロスしているコルセットの紐に引っ掛ける。
「紐を切るが構わないよな。早く楽になりたいだろう?」
顔に向かって囁いたがが相槌する素振りをみせることはなかった。紐に刃先を引っ掛けたまま、やはりリヴァイはまた迷った。
身体の柔らかさを一切感じさせなくしている補正下着。どこを掠ろうが手触りは固くて、谷間が覗く両胸を触れようものなら、厚かましいと言わんばかりにリヴァイの指を弾いてくるのだろう。女にとって己の純潔を守る最後の砦であろうことは言うまでもなく、さらにはリヴァイにとっての欲求を封じ込める砦でもあった。
(そうは言ってもな)
体調不良をきたすほど苦しいのに放っておくのは忍びない。ややして躊躇いを断ち切るようにリヴァイは手に力を入れた。
滑りが悪い紐は一箇所切っただけでは緩まない。次々とクロス部分を切っていく。横に開いていくコルセットの隙間から、ごく薄い肌着がちらりと現れた。下に何か纏っていたことにほっとしつつも、透ける肌がリヴァイの身内を昂らせていくのを感じていた。
真ん中の結び目まで切ると楽になってきたのか。たまに身じろぎをしていたの肩が弛緩した。
下まで紐を全部切って、
「コルセットを引き抜く、構わないな」
リヴァイは再度念を押してから横から引き抜いたのだった。
背中の釦を外してしまったドレスは、リヴァイに凭れていることで、かろうじての胸許に留まっていた。気絶からは脱したようだが、は酔いが残っていて意識がはっきりしない。
どうしようか、とリヴァイは天井を見上げて考える。このままベッドに横たわらせてやればいいのだけれど、寄りかかる彼女の重みが愛くるしいから離すのが惜しかった。
「う……、ん」
肩に頬擦りするようにしてはまた身じろぎした。それで胸許を守っていたドレスが腹まではだけていった。
を見降ろすリヴァイの喉仏が悩ましげに上下した。薄闇に慣れた眼を釘づけにするのは、肌着の下に見える透ける二つの膨らみだった。