第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)
集合時間丁度に着いたはリヴァイから一睨みされた。だって居心地悪かったものだ。新しいメンバーの四人がすでに全員揃っていたのだから。
社会人なので五分前行動では遅いとも分かっている。十分前に着くのがベストなのだろうけれど、リヴァイを長く待たせることで逆らっているのだ。万年反抗期のであった。
オルオにハタキを突き刺される。
「兵団の穀潰しがよく言うぜ。そういう偉そうなことはな、立体機動をまともにこなせるようになってから言うんだな」
「遅い! って兵長から怒られたのに、ったら謝りもしないでぶすっとしてるんだもん。さすがに空気が凍ったわよね」
とペトラは前髪を揺らして笑い、後ろに顔を巡らせた。
「個別指導をしてもらってたときも、あんな感じだったの?」
「昔からの癖なんだ。怒られると、どうも頬が膨らんじゃったり、唇が尖っちゃうんだよね。よくないとは思ってるんだけど」
「ある意味大物よね」
悪い意味であることは確かである。
梯子を昇ってペトラは上段の布団に手を伸ばした。
「でもって、本当に立体機動が全然ダメなの?」
「うん。でも最近になって、ようやく木の枝に着地できるようになったよ。たまに失敗するけど」
言うと、ペトラがもともと大きい瞳をさらに大きくさせた。
「評判通りなんだ」
「こいつの訓練の様子を一度見かけたが、ひどいもんだったぜ。なんで精鋭班にいるんだか不思議で仕方ねぇが、兵長が決められたことだしな」
唇を捲らせながら言い、オルオはハタキの柄で肩を叩いた。ペトラと違い、彼はに良い印象を抱いていないようだ。実際感じの良いペトラも心の中でどう思っているのか分からないけれど。
――二階の窓から見える位置よりも、新しい太陽がもう少し下のほうにあるころ。訓練場で集まった面々は、重役出勤したをことさら不思議そうに見てきた。
(普通はそういう反応よね。私だって、なんでこのメンバーと一緒にいるのか謎だもの)
腕を組んで立つリヴァイの前で、並列している班員の隅にはちょこんと収まる。リヴァイが口を開いた。
「今日からお前らは精鋭班だ。すでに伝えたことだが、もう一度言う」