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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


 しかし本当にそれだけかとリヴァイは自分を疑った。つい甘やかしてしまうところに答えがあるのではないかと思うのだけれど。

「リヴァイ、私はね。心配してるんだよ、あなたを。無茶してほしくないんだ。のことなら責任を持ってうちで預かる。経験がさっぱりなのもちゃんと考慮して、生きて帰らせるつもりで気をかけるよ」
「あいつを指導してるのは俺だ。出来が悪いまま、ほかの分隊に放り出すわけにはいかない」

 呆れ顔でハンジは前髪を横に払った。
「相変わらずだな。意固地なんだか責任感が強いんだか」
「どちらかといえば意固地に近い。責任感が強いなんてのは買いかぶりで、ただの俺のわがままだ。迷惑をかけるつもりは毛頭ないが、煩わせてすまないとは思ってる」
「おや珍しい。あなたが謝ったよ」
 ハンジがおどけてみせた。ちらと流し目を寄越しただけでリヴァイは留める。

 年中偉そうな王様ではなく、悪いと思えばリヴァイも謝る。劣等兵のが精鋭班に加われば、全体的な士気に少なからず悪影響を及ぼすだろうことは言うまでもない。
 悪戯っ子な笑みを浮かべてハンジは覗き込んできた。

「わがままにさせるのは、出来が悪い子ほど可愛いってあれ? 手取り足取り指導してきたから、手放すのが惜しくなっちゃったとか?」
「馬鹿か。は男だぞ、気色悪い」
 心底嫌そうにして吐き捨ててみせたが、実は嘘が含まれていた。話も一段落ついたことであるし、いまだ理解しがたいことを、女であるハンジに聞いてみようか。

「お前、男に興味あるか?」
「そりゃあこれでも女だからね。しばらく男と寝てないな~。そのうち腐っちゃうかも」
 ハンジが項垂れた。リヴァイは質問の仕方を間違えたようだ。
「そうじゃない。何て言えばいいのか。そうだな。男が羨ましいとか、そう思うことはあるか?」
「ああ、そういうこと? 体力的な面で言えばあるよ。兵団にいるとことさら思うね。男女の違いは大きいよ。肉体的にも精神的にも作りが違うから」

「それで男になりたいと思うときがあるか?」
 ハンジは二重の眼をぱちくりさせる。
「立体機動であなたに追いつけなくて悔しく思うときはあっても、男になりたいとまでは思わないな。いまの自分が好きだしね。なんでそんなことを訊くの?」
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