第3章 薄月
おかあさん!ねえ、これ見て…
なにかな…智、凄い!はなまる付いてるね!
これ、おかあさん描いたんだよ!
わあ!凄い!随分、美人に描いてくれたんだね!
これね、おかあさんにあげる!
本当に?ありがとう!
母の日だから…いつも、ありがとう!おかあさん!
智…おかあさん、嬉しい…嬉しいよ!
ただいまー
おとうさん!おかえりなさい!
智、いいこにしてたか?
してた!ねえねえ!これ見て!
お?おおお!凄いなあ。智は絵が上手だなあ。
これね、おかあさんなんだよ!
そうか…今週は母の日だからな。智偉いぞ!
へへへ…おとうさんの顔もちゃんと描くからね!
楽しみにしてるぞ…智
あれは…いつのことだったのかな…
あの時は家族3人、仲が良くて…
お父さんもお母さんも、毎日家にいて…
みんなで笑って…
ぼくのあたま、撫でてくれて…
抱きしめてくれて…
いつの間にか朝が来てた。
閉め忘れたカーテンから、朝の明るい光が部屋の中を照らしてる。
眠れなくてベッドに寄りかかりながら、ぼけっと握り締めてたクレジットカードを見てた。
学校…行かなきゃ…
でも、体が動かない。
それに…先生の顔、見れない…