第2章 寒月
「なんもねえってっ!」
肩に掛けた手を振り払われた。
「明日学校行くから。だからついてくんなっ…」
「大野、なんか問題があるのか?」
「はあ?問題?」
「…いじめられてるとか…?」
「はあ?俺が?」
「今朝…仁科がおまえを怒らせたって言ってたぞ…もしかして仁科と喧嘩でもしたのか?」
「は?なんで俺がカズヤと喧嘩なんかすんの…?」
心底呆れたみたいな顔をされた。
どうやら、学校で問題があるわけじゃなさそうだな…
仁科が原因でもないらしい。
「じゃあ、なんか悩みがあるとか…?」
「……んなもんねえよ」
お?ちょっとトーンダウンしたぞ。
たまに仙人みたいな雰囲気になって全然気持ちが読めないことがある。
だから、こういうふうに年相応に自分の気持ちを隠しきれない部分を見て、ちょっと嬉しくなった。
「あんな?俺も高校生のときなんて、悩みいっぱいあったんだぞ?」
「……は?」
「そりゃあ、学校の先生なんかに悩みなんて言えなかったけどさ…ダチにはさ、すんごい助けられた…」
「何いってんの…?」
「おまえ、クラスで馴染めてるのか?」
「は?」
「何でも言える、ダチ…居るのか?」
大野は黙り込んだ。
アレ…?もしかして、これも触れてほしくなかった…?