第2章 寒月
side O
「…うちの学校の先生」
「えっ…!?先生!?」
あちゃーな顔をして、松本は黙り込んだ。
「こっちは…?見かけない顔だけど、友人か?」
「…はい…」
急に話を振られて、小さな声で松本は答えた。
ちょっと不貞腐れた顔をするのは、これから夜遊びしようとしてた後ろめたさなのか。
松本に悪いことをしたと、思ってしまった。
「ごめん。行って?また今度な」
「え?でも…」
「先生。こいつ、他校の生徒だから、関係ないだろ?」
「なに勝手なこと言ってる。おまえらまだ18歳にもなってないだろ。こんな時間に、未成年がこんなとこウロウロしていいと思ってるのか」
額にでっかいガーゼつけて…
精一杯、偉そうにしてるように見える。
メガネの奥の目は、なんだか動揺してる…?
こういうの、あまり櫻井は慣れてないと踏んだ。
「いいから、松本行って?」
「待ちなさい。キミ、生徒手帳出しなさい」
私服着てるのに、持ってるわけ無いだろ。
目で合図したら、松本は足早に離れていった。
「あっ…ちょっ…待て!」
「せんせー」
「なんだ!?」
松本の方に走り出そうとしてたけど、腕を引いて止めた。