第8章 幾望
そのキスが、だんだん深いものになって。
俺と智の舌が、激しく絡み合う。
唾液が溢れるのも構わず、それをまた舐め取るようにキスをする。
「翔…翔…」
唇が少し離れると、俺の名前を呼び続ける。
智の手が俺の顔を掴んで。
一層深く、舌と舌が絡み合った瞬間、智の腰が俺を突き上げた。
「っ…う…」
「翔…」
まだ慣れていないのに…
まだ痛いはずなのに…
智は俺をキツく包み込んだまま、また腰を突き上げた。
経験したことのない快感と興奮。
動いてもないのに、勝手に汗が吹き出してくる。
我慢できず、自分で腰を動かすと智の腕が首に回しかけられて。
俺たちの体はまた、ぴったりと密着した。
「智…」
息が上がって、跡切れ跡切れに呼ぶと、ぎゅっと俺を包みこむ中が締まって。
「…あ…しょ、う…」
痛みで震える声を聞いて、何度も何度も髪にキスをして。
ぎゅっと抱きしめて、奥底を何度も穿った。
擦れ合う全てが気持ちよくて
触れ合う全てが気持ちよくて
頭が真っ白になるほど、智の身体に埋まりこんだ。
やがてギシギシと鳴るベッドの音も聞こえなくなり。
智の小さく喘ぐ吐息しか感じなくなり。
「智…」
「ん…?」
「愛してるよ…」
「…うん…」
優しく、智の手が俺の背中を撫でた。
「俺も、愛してる…翔…」