第8章 幾望
潤んだ目で俺をしっかり見ている智は、少し痛そうで。
でも俺から一瞬も目を離さない。
しっかりと、ここにいるのが俺だって確認してるみたいだった。
ゆっくり、ゆっくりと…
俺と智はひとつになった。
「ふー…」
自分の全てを智の中に埋め込んだ。
熱くて、物凄い圧迫で。
気を抜くとすぐに追い出されそうなほど狭くて。
智の額には汗が浮かんでて、それがどんな苦痛を伴う物なのか容易に想像できた。
だけど、俺は…俺たちはこれをやめることができなくて。
見つめ合ったまま、智の左手を取った。
そのまま手の甲にキスすると、薬指にもキスをした。
どうしたの?って目をする。
「…ここと…心臓、繋がってるんだって…だからここに結婚指輪をするんだ…」
「…そうなんだ…」
少し気怠そうに笑って、智も俺の左手を取った。
真っ直ぐに薬指にキスをすると、俺を見上げて微笑んだ。
「じゃあ…指輪の代わりだね…」
「うん…」
一生
ずっと一緒にいる
ふたりでいる
ずっといる
しあわせにする
だから、智
俺の物になって
もう俺は
おまえの物だから
智の頬を手のひらで包むと、誓いのキスをした。