第8章 幾望
自分を落ち着かせるように、智の額や目尻にキスをした。
少し震えるまぶたは閉じられたままで。
「痛い…?」
「ううん…痛くない…」
少しずつそこをこじ開けていたら、智の手が俺のに触れた。
びくっと思わず身体が跳ねて。
智は俺を見上げると、握ってゆっくり手を動かし始めた。
「智…?」
「俺も気持ちよくしたい…翔…」
ああ…もう…
ずるりと智の中から指を抜き出した。
そこはもう熱を持って柔らかくほぐれていた。
枕元に投げ出してたコンドームのパッケージを開けた。
ぬるぬるの手でしにくかったけど、なんとか装着して身体を起こした。
痛い思いをさせるかもしれない
一瞬、躊躇した。
でも…
どうしても智とひとつになりたくて。
ひとつキスを落とすと、智の足の間に身体を滑り込ませた。
腰を持つと少し持ち上げた。
「翔…」
小さな声に目を向けると、嬉しそうな顔をした智がぎゅっと俺の腕を握った。
その手は熱かった。
「智…」
愛してるよ
ゆっくりとそこに自分を押し当てた。
すぐに強烈な抵抗を感じた。
でも後に引く気はない。
ゆっくりゆっくりと…時間を掛けながら、そこに自分を埋め込んでいく。