第8章 幾望
翔の唇は温かくて…
柔らかく、俺の唇に触れてくれる。
体の芯が熱くなってくる。
でもそれは…あのときとは全然違う。
柔らかで幸せで…
「智…」
「ん…?」
唇を離した翔は、じっと俺の顔を見てる。
その顔は少し青白く
月明かりが照らしてるみたいだった
「…殺してくれって…思わない…?」
どこまでも白く…暗いのに青い…
「死にたいって…思わないか…?」
どうして
そんなこと思う
ここに
こんなに温かく俺を包んでくれる腕があるのに
「…思わない…」
翔が傍に居てくれる限り
そんなこと、思う日なんてこない。
「…本当に…?」
ああ…そうか…
不安なんだ
「ずっと…一緒に…」
翔が、不安なんだ
「居てくれるんでしょう…?」
もう思わないよ
殺してくれって
思わない
「ああ…ずっと、一緒だ…」
だから、翔…
俺を抱いて