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裸の月【気象系BL】

第8章 幾望


「ふうん…そうなんだ…」

智はまた嬉しそうに笑った。

「あ、そういえば。たか江さん、心配してたよ?おでこの怪我」
「うっ…」

舞にツッコまれて、あのときも散々笑われたのを思い出した。

「そうだよ!兄ちゃん大丈夫?血出てたよね?」
「も、もう縫ったから大丈夫だよ…」
「縫ったの!?痛かった!?」
「わかったから…修、もうその話いいだろ?」

なさけなーくなってると、智はずっと密かに笑っていた。
このやろ…
脇チョップしておいた。

父親もダイニングに入ってきて、久しぶりに家族揃って飯を食った。
いつも来ても、出張とかで父親は居ないことが多かったし、本当に久しぶりだった。

散々俺の昔の失敗談で盛り上げられて、もう凹む…
苦虫を噛み潰したような顔してたら、智が袖をくいっとひっぱって。
にっこり笑ってくれた。

…智が喜んでるのならいい…

諦めて、嬲られておくことにした。


「じゃあ、また来てね!」
「いつ来てもいいからね!」
「智兄ちゃん、今度ゲームしよう!」
「翔なしでも来るんだぞ?智くん」

全員出てきて見送ってくれる頃には、少し遅い時間になっていた。

「お邪魔しました」

だいぶ打ち解けた智は、にこにこして頭を下げてた。

よかった…馴染めたようだな…
ホッとしていると、智は俺を見上げた。

また、笑った

その笑顔は、とても透明で…
ガラス細工みたいに、綺麗だった

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