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裸の月【気象系BL】

第8章 幾望


いいって言ってるのに、次々お菓子やらお茶やらジュースやら出てきて…

「母さん、夕飯食べらんなくなるよ…」
「あら!良いわね。お夕飯、食べていって?」
「いえいえ…今日はこの後ちょっと予定がありまして…」
「あらそうなの…?残念…」

本気の残念顔に、ちょっと胸が痛んだ。

「今度はお泊りに来てね!大野くん」
「え?」
「ちょっと母さん…」
「遠慮はいらないよ。是非、また遊びに来てくれ」
「父さんまで…」
「はい…ありがとうございます…」

お父さんとお母さん、にこにこ笑って松本を見た。

「わ、わあったよ!今度来いよ!」
「う、うん」

改めてお礼を言って、松本の家を後にした。

「大野!」

コインパーキングに向かって歩いてたら、松本が追いかけてきた。

「あ…どうした?」
「いや、あのさ…」

少し息を切らしてる。

「大野、俺は先に車出しておくから…」
「え?」

返事もしないのに、翔は先に行ってしまった。

「…あのさ」
「え?うん…」
「元気そうで…安心した」
「あ、うん…」

心配してくれてたんだよな…

「あっ…!」
「え?なんだよ?」
「松本…その…」
「え?」
「和也さんにあれから会った…?」

松本はちょっと眉を顰めると、首を横に振った。

「え…?」

もしかして、俺のせいで和也さんになんかされてないか心配になって聞いたのに、意外な答えだった。

「…居ないんだ…離れに…」
「そう…なの…?」
「もしかして母屋にいるかもしれないけど…そこまでは行けなくて…」

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