• テキストサイズ

裸の月【気象系BL】

第8章 幾望


翔はお父さんとお母さんに頭を下げて。
俺も一緒に頭を下げた。
顔を上げると、お父さんもお母さんもニコニコしてて…

「いいんですよ…ちょっとびっくりしたけど…」

お父さんが受け取った菓子箱を、お母さんが受け取って。

「おかげで潤の友達に二人も会えて、とても嬉しいんですよ」

二人って…カズヤのことかな…
あのとき一緒に松本の家に来たって言ってたし…

「ああ…嬉しいもんだな…」

お父さんとお母さんは目を合わせて、ふふっと笑いあった。


…なんだか…懐かしい風景を見た気がした…


「あらあ…岡埜栄泉の豆大福…」
「これ、うちの母が好きで…お口に合えば良いんですが…」

翔がそう言うと、お母さんは喜んだ。

「先生のお母さんとは気が合いそう…あんこがぎっしりで美味しいのよね…」

うふふと笑いながら箱をなでなでした。
なんか…かわいいな…松本のお母さん。

うちの母さんとは…全然違う。

「はい。追加のガムシロ」

松本がリビングに戻ってきて、テーブルの上に容器を置いた。

「先生、追いガムシロする?」
「…イラン…」

それから、お母さんやお父さんに、松本のこと根掘り葉掘り聞かれて…中等部じゃどんな様子だったかとか、どんなとこに遊びに行くんだとか…

その度に松本は嫌な顔をしながら、菓子鉢のお菓子をバリバリと食ってる。

「もお…俺のことはいいでしょお…」
「だってこんなチャンス滅多に無いんだもん!」

/ 330ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp