• テキストサイズ

裸の月【気象系BL】

第8章 幾望


なんだかぷりぷりした松本が、お茶を出してくれた。
今日は少し暑いくらいだから、アイスティーだった。

小ぶりの透明なグラスに、きれいな色の紅茶が入ってる。
中に入っている氷が、カラカラといい音を立てた。

「はい、ここにガムシロとミルクあるからね」
「ありがとう」

翔はガムシロの容器を手に取ると、ドボッと全部グラスに入れた。

「ちょ……」
「ん?…あっ…」

うっかり、やってしまったらしい。

向かいのソファに座っているお父さんは「ははは」と笑い、絨毯に座っているお母さんは「ほほほ」と愛想笑いした。

「ぶーーーっ…先生甘党なの?」

松本におもくそ笑われてる。

「す…すいません…つい…」

そう言ってガムシロの入った容器を松本に戻した。

「マジ味覚やばいっすね」
「す、すまんなっ!」
「こら、潤。そんな口利くもんじゃない」
「はーい…」

へへと笑って、松本はまた台所に戻っていった。

「どうぞ。召し上がって?」

一緒に持ってきた菓子鉢に盛られたお菓子を見て思い出した。

「あの…先生…」
「…なんだ…」
「お菓子…」
「あ。そうだった」

翔は慌てて紙袋から菓子折りを取り出した。

「これ、つまらないものですが…」
「ああ、そんな気を使わんでください…」
「いえ…お詫びも兼ねていますので。あの折は、大変ご迷惑をおかけしました…」

/ 330ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp