第2章 寒月
そのまま寝てしまったのか、物音で目が覚めた。
「…今何時だ…?」
枕元の時計をみると、夕方になってた。
部屋の外…リビングの方から、凄い音が聞こえる。
また母さんが暴れてるんだろう。
今日も、父さんは帰ってこないようだ。
スマホを見てみたら、物凄い着信があった。
中学まで一緒だった、同級生の松本だ。
高校は、なぜか一緒に上がってこなくて、別の私立高へ編入してしまったけど。
ラインとか…そういうのは、母さんに監視されるから、アプリは入れてなくて。
メールも、残るから入れないでくれって頼んでる。
松本はそれでも、俺に連絡してきてくれるから…
だから、なんとなく今まで、関係が続いてる。
「なんの用事だろ…」
リダイヤルしてみたら、すぐにそいつは出た。
『もしもーし!大野?』
「おお…どした…?」
『めっずらしい!ちゃんと折返しできて偉いね!』
「うるせーな…用がないなら、切るよ?」
『なんだよ。用があるから掛けたんだろ~』
笑いながら、無愛想にしても何度でも誘ってくる。
それがなんだか、居心地が良くて…
あまり…良くない噂を聞くから、深入りしちゃだめだって思うんだけど…
もうこれ以上、面倒なことに巻き込まれたくないから
誰とも関わり合いたくなかったし…