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裸の月【気象系BL】

第8章 幾望


「でも…」
「後悔、するんじゃねえの?」
「…うん…」
「別に無理に言えって、言わないけどさ…もしかしたら、伝えたらちょっとは変わるんじゃねえの…?」
「そう…かな…?」
「それに言わないより、言ったほうが後悔しないよ?」
「そっか…」

五関の背中がピンと伸びた。

「僕…今のクラスは好きだ…だから、言ってみる」
「おん。いいと思うぜ。頑張れよ、センパイ」

ちょっと先輩に向かって言うには生意気な言い草だったが…
でも五関は、闘志の湧いたような顔をして立ち上がった。

「先生、帰ります!」
「あ、ああ…気をつけて帰れよ」
「失礼します!」

ブンっとすごい勢いで頭を下げて、五関はミーティングルームのドアに向かっていった。

「大野、ありがとう!」
「…おう…」

恥ずかしそうにちょっとだけ手を挙げると、大野は出ていく五関を見送った。

「…大きな声出せるじゃん…センパイ…」
「ああ…」
「どうなるかな…」
「さあな…」

五関のご両親は本当に怒ってたから…
もしかして五関の願いは聞き入れられないかもしれない。
でもそれも、五関のことを思っての親心だし…

ひっくり返すのは、難しいかもしれない。

「でも、伝えることに意義があるんじゃないか?」
「だよね」

ふふっと大野は笑った。

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