第8章 幾望
「もう、副担じゃないのに…2年の担任なのに、僕のこと気にかけてくれて、ありがとうございました」
「えっ…!?」
なんで…お礼言われてんだ…?
「この前も言ったけど…先生に、強いって言われて…僕、勇気が出たんです…」
いくらか、前よりもスラスラと五関は喋れるようになっていて。
それにも驚いたが…
まさか、そんなことでわざわざ探してまでお礼言われるとは思ってもみなくて。
「…それと、あのとき…」
「え?あの時…?」
「仁科が殴られた時…」
「あ、ああ…」
「僕の話を、信じてくれてありがとうございました」
「え…そんなの…当然だろ…?」
「え?」
「だって、五関が嘘を俺についたことなんか、ないじゃないか…」
五関はぽかんと俺を見上げた。
「ぼはぁっ…」
仁科がいきなり吹き出した。
隣りに座っている相葉先生も吹き出した。
大野は微笑んでる。
「え…?俺、なんか変なこと言った?」
大野に聞いたら、ちょっと困った顔をして。
「さあ…」
相葉先生が俺を見て、涙を拭いた。
「もーっ!翔ちゃん!!あんた、イイ!もう、ほんといいキャラだわぁ…」
「ホント…マジ、こんな人いるんだぁ…」
ゲラゲラ組は笑いが止まらない。