第2章 寒月
らしい…というのは、俺は結局のところ最後まで関われなくて。
全体が見えてきたのが3学期に入ってからで、途中で俺は次年度の2年生の担任を引き継ぐことが決まっていたから、この問題から離れざるを得なかったんだ。
だから、ざっくりとしか話を理解していなかった。
五関は国立特進コースから、うちの大学へのコース変更をしたはずだ。
だから主犯格とはクラスは別になったはず。
「ん~…止まらないね。翔ちゃん…病院で縫って貰わないとかも」
「へっ!?」
「あのねえ…頭って、ちょっとの傷でも大出血するの。そして皮膚がよく動くから止まりにくいの。だから…これで止まんなかったら、病院でぽっちんしてもらってきてね」
「う!?へ!?」
片手でホッチキスをパチパチするような動きをしながら、また相葉先生はガーゼを押さえてる手に力を入れた。
「まあ…でもさ…あんまりどいつもこいつも肩入れしないほうがいいよ…?」
「はあ…」
「あいつらは、商品。次のベルトコンベアーに乗っけたら、俺たちなんて用済みになるんだから…」
…上部の大学へさえ入れればいいと…
特進で国立や他私大へ行く奴ら以外は、そのまま勝手に大学部へいけるようになってる。
だから余計な手出しをするな、ということだ。