第7章 繊月
小さな震えが止まらなかった。
あんなことされたのに
あんなことされたけど
和也さんの孤独が…俺と重なって…
あんな…暗い部屋に…
誰も…月も照らさない、あんな中に和也さんはひとりで…
闇の中でいつもひとりで
「大野…?どうしたんだ?」
ぐいっと強引に、先生が俺の顔を上げた。
「泣いてる…?どうした!?」
「…翔…」
助けて
「大野…?」
助けて俺を
「翔…」
助けて、和也さんを
先生の顔が、ゆっくり近づいてきて。
唇が俺の頬に触れた。
「…大丈夫だから…」
「翔…」
「俺が居るから…智…」
「うん…」
先生の腕が、俺の身体を抱きしめた。
温かい…
そのまま、俺と先生の唇が重なって…
震えが、止まった
「さー!いっぱい食べてね!」
相葉先生の明るい声が、リビングに響いた。
ローテーブルには、これでもかってほど料理が並んでて。
肉、肉、肉。
そして、てんこ盛りのサラダ。
「男ばっか3人だから、こんくらい食えるっしょ?」
「は、はあ…」
先生は若干引き気味だ。
俺も若干…いや、だいぶ引くくらいの量だった。
「相葉先生って、体育会系…?」
「いや…保健の先生だから、文系のはずだがな…」