第7章 繊月
相葉先生は、バッグの中から次々と物を取り出してベッドの上に並べてくれた。
俺もバッグに物を詰めたとき、急いでたから…
はっきりと何がないってわかんなくて。
ちょっと困ってたら、スマホが出てきた。
「充電切れてるね」
「あの家で…一回も充電できなくて…」
「そっか」
そう言って、相葉先生はキョロキョロと周りを見渡した。
ベッドの右手に置いてある、先生の仕事用?のデスクの上になにか見つけたようだ。
そこまで歩いていって、何かを手に取った。
「充電、しちゃう?」
頷くと、相葉先生が充電器にスマホを挿してくれて。
「…これでよし。あと、ないものない?」
「いや…正直もう、わかんなくて…」
「そっか。じゃあ大丈夫だね?」
「あ、はい…」
「もうすぐお夕飯できるから…お腹減った?」
夕飯って聞いたら、腹がぐーって鳴った。
「ぶっ…ふふふふふ…」
「…減りました…」
「りょーかい。じゃあリビングおいでよ」
「はい。これ、片付けてから…」
「うん、待ってるね」
相葉先生はにこにこしながら部屋を出ていった。
「ふう…」
それにしても荷物がタバコくさい…
一回全部洗濯したいな…
そう思って手にとった服は、見覚えがなかった。