第7章 繊月
side O
随分、いっぱい寝た。
目が覚めたら、もうあたりは暗くなろうとしていた。
すごい寝たと思ったのに、たった数時間ほどしか経ってないみたいだった。
「…夕方か…」
腕を見たら、点滴はもう外されてて。
針が刺さってたとこには、絆創膏が張り付いてた。
空になった袋をぶら下げたままのスタンドは、部屋の隅に寄せてあった。
先生とキスしたから…
すごい安心できて…
俺からじゃない。
無理やりじゃない。
先生がくれたキス…
なんだかわからないけど、凄く安心して…
ここにいてもいいって
そう、思えて…
ぼけっと隅に置いてあるスタンドを見てたら、ドアがそっと開いた。
「あ」
顔を覗かせたのは、相葉先生だった。
「起きてた?」
「はい…今…」
慌てて上半身を起こした。
「どう?体の調子」
「…多分、大丈夫」
「そっか。君のさ、荷物をあの部屋から持ってきたんだけど…」
「あ…はい…」
そう言って先生は、部屋に入ってきた。
手には俺が持ってたボストンバッグがあった。
「足りないものとかないかな?確認してくれる?」
「…ありがとうございます…」
「ううん…このくらい、なんでもないよ?」
ベッドの横ににバッグを置くと、先生は絨毯の床に座った。
「荷物、ぐちゃぐちゃだけど急いでたから勘弁してね…」