第7章 繊月
「翔ちゃん、ただいま~」
相葉先生が帰ってきて、玄関から明るい声が聞こえてきた。
「はーい。おかえりなさい」
手と足を拭いて洗面所から出たら、中に入ってきた相葉先生と鉢合わせになった。
「あれ?何してたの?」
「風呂掃除です」
「そっか、おつかれ。他にすることある?」
「いえ…」
「…どうしたの?」
「え?」
「なんか…すごく…」
ジロジロと相葉先生は俺を眺め回す。
「あ、なんかエロい顔してんだ」
「ぶはっ…」
「どうしたのよ~…俺が居ない間に愛、育んじゃった?」
「…え…?なんでわかったの?」
「えっ…!?」
「どあっ…う、嘘だから!嘘っ!」
「ははーん…」
またもやジロジロと俺の顔を眺め回す。
「愛しちゃったんだ?」
ズバリ、核心に斬り込まれた。
「…いや、その…」
「ふうん…」
相葉先生は、驚くでもなく。
俺のこと、諌めるでもなく。
「いっぱい愛してあげなよ?」
「はあ…」
「俺、人の恋路を邪魔するとか、そんな無粋なことしないし」
「はあ…」
「年齢とか、そういうことじゃなくてさ…惹かれ合うものは、しょうがないと思ってるし」
「はあ…」
「それに俺、バイだしね。男同士だからって、止めないからね?」