第7章 繊月
「だーっ…もう、話を戻しますよ!?」
「あ、そうだった。ごめんね?大野くん」
「い、いえ…」
「で、だから事情を知ってしまった仁科と相葉先生と俺とで、おまえをこっそり探し出そうとしてな…」
「実際、渋谷をウロウロして探したんだよ~」
そうだったんだ…
俺のこと、探してくれたんだ。
「翔ちゃんが大野くんと松本くんが、中等部で一緒だったってことを覚えてたんだよ」
「え?」
「ほら、大野が松本くんと渋谷でウロウロしてたときに聞いただろ?」
「ああ…え?覚えてたの…?」
「そりゃ、覚えてるだろ」
なんか、嬉しい。
「それを相葉先生に言ったら、事務の澄岡さんが中等部のときの資料をくれて…って、相葉先生、あれは…」
「んー深く聞かないで?ね?」
「ぐう…」
先生が頭をかきむしった。
「やっぱあれ…ちゃんとした方法で入手してなかったんだ…」
「まあまあ…そんなことより先に話をしようよ、ね?」
「うう…」
「そしたら、カズヤが松本くんと中等部のとき仲良くしてたから、あのお家のこと思い出したんだよ…」
「だから、あの家に行くことになったんだ」
カズヤもあの家に来てたことがあるって、松本が言ってた。
もしもカズヤが松本のこと思い出さなかったら…
今頃俺は…