第7章 繊月
「しっかりって…」
なんか雨に打たれた犬みたいな風情で、ますます櫻井先生はしょぼんとした。
「リソウニモエルオレカッコイイから、だいぶ現実見えたでしょ?」
「はあ……」
雨に打たれた上に、台風に遭遇したような風情になった。
「覚悟、ないと…人に深入りなんかしちゃいけないの。例え教師と生徒であろうとね」
突き放すような言い方だったけど…
相葉先生は、櫻井先生を思って言ってるんだってことはわかった。
深いため息を付いて、先生は前髪をぐしゃっとかきあげた。
そのまま俺の方を見た。
どきっとした
あんまり、先生の目が真剣だったから…
「覚悟は、もうできてます」
「だよね。それがわかったから、俺も協力してんの」
「…ありがとうございます…相葉先生」
「もお…他人行儀だな。雅紀でいいよ」
「えっ…そんな急には…」
「いいからいいから…じゃあ、まーくんは?」
「なんかヤダ」
「ちょお!」
なんだか、先生ふたりはじゃれ合うように言い合いを始めてしまった。
俺は、心臓がどきどきして止まらなかった。
あんな先生の顔…みたことなかった。
いつもちょっとどんくさくて…
たまに滑稽なくらいかっこ悪いとこもあるのに
なのに…あんな、目…