第7章 繊月
「じゃあ、お父さんには暫く会わないと連絡しておいていいか?」
「はい。お願いします」
そう言って頭を下げた。
先生は頷いてくれた。
「生活費とか、遠慮なく請求してください。うちの親、金だけは持ってるから。20歳までは俺を養う義務あるんでしょ?」
「20歳なんてとんでもない。22歳まできっちり学費請求できるんだからね?」
相葉先生が、身を乗り出してきた。
「…22って…大学卒業までってこと…?」
「そのとーり!」
相葉先生は人差し指を俺に突き出してきた。
「そのあたり、俺は経験者だから。聞いてよね。なんでも」
「え?」
「相葉先生…」
「ふふ…俺も、親とうまく行ってない家庭出身なわけ…まあ、深い事情は長くなるから聞かないでよ」
「そうだったんですか…」
櫻井先生がしゅんとしちゃった。
多分…櫻井先生は…
まっすぐで、なんの問題もなく大人になったんだろうな…
俺から見たら、なんだか眩しい。
「その時は…相談します」
「おう。なんでも聞いておいで。保健室で待ってるよ」
「ありがとうございます…」
「まあ、翔ちゃんも…頑張って調べてくれるとは思うからさ。心配してたけど、しっかりしてきたからさ?」