第7章 繊月
少しウトウトして目が覚めたら、リビングのローテーブルの上に、雑炊が入った鍋が乗ってた。
先生の膝枕はどっか行ってた。
その代わり、相葉先生が目の前に居た。
「お、いいとこに目が覚めたね。ごはんだよ」
「はい…」
点滴はまだ袋に液体がいっぱいあって、終わってなかった。
管をつけたまま、ローテーブルに近づいて座って、小分けにした雑炊の入ったお茶碗をテーブルに置いたまま食べた。
テーブルの右隣で、櫻井先生も一緒に食べてる。
相葉先生は洗い物があるみたくて、キッチンに戻っていった。
「なんで相葉先生がご飯作ってるの…?」
「ああ…俺、料理できないんだ…」
「…あんな立派な冷蔵庫あるのに…?」
「相葉先生と同じこと言うなよ…」
すごい情けない顔をしながら、雑炊を頬張った。
「ふうん…じゃあ弁当とか外食ばっか?」
「まあな。たまに実家行ったりもするけど…」
「へえ…先生の実家…」
「…今度連れて行ってやるよ」
「…え?」
先生はレンゲに乗った雑炊をふーふーしながら、俺の顔を見た。
「おまえ、これからここに住むから。お父さんにも許可とってあるから」
「え…?」
あれ、夢じゃなかったんだ…
「…じゃあ母さんが病院に入ったのも…本当なの!?」
「え?」
「父さんが…母さんを病院に連れて行ったの!?」
「あ、ああ…」
本当…だったんだ…