第7章 繊月
しょぼくれた先生は、ソファの方に戻ってきたけど、俺の顔をみたら、また顔を赤くして、ラグの上に座った。
なんでだよ。
「先生」
「えっ?」
ぼふぼふとソファの座面を右手で叩いたら、諦めたみたいですごすごと隣りに座った。
俺は、スタンドをちょっと引き寄せてから、先生の膝に頭を載せた。
「うあっふ…」
「膝貸して」
「う、うん…」
腿に頭を乗っけながら、先生の顔を見上げた。
「な…なんだ…」
「先生」
「ん?」
「かわいい」
「ぶっ…」
また両手で口を押さえてしまった。
…やっぱ童貞…?
「黙れ」
「やだ」
「おっ…大野っ…」
「やだよ」
「こ、こらっ…」
「しょう…」
「えっ…」
「翔…」
ぐりぐりって柔らかい部屋着の腿に顔を擦り付けた。
「…呼び捨てにすんな」
「じゃあ、翔ちゃん」
「相葉先生の真似するなってば…」
「いいじゃん。家だから」
「だめ。学校でも呼ぶだろ?」
「呼ばないよ…学校は違うもん…」
ぽふっと頭に手が乗って。
「減らず口叩いてないで、ちょっとでも寝ろ」
「ん…」
そのまま髪を撫でてくれて…
気持ちよくて…
ずっと
ずっと先生と
こうしていたいなって
思った