第7章 繊月
無事に終わって出たら、まだ赤い顔をした先生が待っててくれた。
メガネはもう、ずれてなかった。
リビングの前を通りかかったら、いい匂いがしてきて。
ぐーってお腹が鳴った。
それを聞いた先生は、少し笑ってくれて。
「リビングで待つか?」
「うん…」
ドアを開けて、一緒に中に入った。
リビングの正面には大きな窓があって。
レースカーテンから、いっぱい明るい光が入ってきてる。
眩しい…
左手のオープンキッチンには、相葉先生が居て。
緑色のスエットを着て、料理してた。
「あ。大野くーん。お腹減った?」
にこにこと話しかけてくれた。
頷くと、相葉先生はもうちょっと待ってね~と言って、調理に戻った。
先生に支えて貰いながら、リビングのソファに座って。
スタンドを俺の横に置くと、櫻井先生はそそくさと相葉先生のほうに行ってしまった。
…なんで隣にいてくんないんだ…
ちょっとむうっとした。
手伝いを始めた先生は、俺の方ちっとも見てくれなくて。
ますますむうっとした。
じっと先生を見てたら、なんか腰が引けてて…
やっぱケツ痛いんだ。
なんかぶきっちょで、相葉先生のお手伝いもできないで。
しっしてやられて、洗い物しようとしてガッシャンとなんか割ってた。
「もおお!翔ちゃんが居ると、仕事増えるっ!あっちいってて!」