第7章 繊月
「即席おかゆにしようかと思ったんだけどさ。絶食してたわけじゃないし、栄養つけなきゃだから、卵と長葱と鶏肉の味噌雑炊にするからね」
「なにそれ美味しそう…じゅる…」
「もお、翔ちゃんのためじゃなくって、大野くんのためなんだからねっ。様子見てきなよ!」
「あ、ハイ…」
もう、相葉先生には世話になりすぎて、逆らえない…
インスタント味噌汁の素を先生に渡すと、リビングを出た。
廊下に出て、右手にある寝室の方を見る。
ドアが閉まってて、静かだ。
あの、ドアの向こうに大野が寝てる。
ドクンと心臓が跳ねた。
「…なんだこれ…」
ぎゅっとシャツの胸元を掴む。
なんで…ドキドキしてんだ…
「思い出すなっ…」
ベチっと自分の頬を叩いて、寝室に向かった。
ドアをそっと開けると、首だけ中に入れた。
ベッドの上は、静かで。
点滴の刺さってる左腕は外に出ていたが、ちゃんと布団をかぶって眠っている。
「…大野…?」
小さく声を掛けてみたが、返事はなかった。
「寝たか…」
ほっとして、部屋に足を踏み入れた。
絨毯の上を更に静かに歩いてベッドまでたどり着く。
大野の寝顔が見えた。
目を閉じて、少し口が開いてる。
「よかった…」
安心して、眠れてるようだ。