第6章 幻月
全部先生の中に埋まり込んで。
物凄い気持ちよくて。
狭くて、熱くて。
ちょっと動いたらすぐ出そうだった。
「う…うう…」
痛いのか、先生は浴槽の縁を掴んだまま動かない。
すごい力が入ってて、油断すると追い出されそうで。
先生の腰を掴み直して、動けないようにした。
「…大野…」
焦点の合ってなかった目が、しっかりと俺を見た。
そのまま、俺に向かって手を伸ばしてきて。
頬を手で包んだ。
「…ごめんな…?」
その声が…
頭の芯にするりと入ってきて。
「…え…?」
今、謝った…?
「ごめんな…信じてやれなくて…」
「せんせい…」
「あんなこと、おまえがするはずないって、わかってたのに…ごめんな…」
「先生…」
「わかってるから…おまえじゃないって…」
頬を掴んだ手に力が入った。
「ほん…とに…?」
先生の顔が近づいてきて。
そのまま唇が重なった。
「ごめんな…一人にして…」
先生の熱くて柔らかい唇が、何度も何度も俺の唇に重なる。
先生に包まれた俺が、その度に出したいって暴れそうになる。
腰が動きそうになるのに、先生の唇が俺の動きを封じ込めてるみたいに動けなくなった。
唇が重なったまま、先生の腕が俺のこと包み込むように抱きしめた。
目が、覚めた
これは現実だ
俺、先生になんてこと…なんてことしてんだ