第6章 幻月
なんで気持ちいいんだろ…
わからなくて、先生の方に顔を向けて。
見上げてみた。
「…どうした?苦しいか…?」
心配そうに俺の目を見る先生の顔は、見たことない人みたいだった。
なんか、おかしい…
なんでおかしいのかな…
ああ…メガネしてないんだ…
でも、先生だ。
額の傷…
まだ痛そうで…
そういえば…縫ったって言ってた…
「痛い…?」
「え?どこが?」
ちがう…俺じゃないよ…
「せんせ…痛い…?」
「俺…?どこも痛くないぞ…?」
よかった。
もう痛くないんだ。
俺のせいで、ついた傷…
「大野…どうした…?」
先生が俺の頬を、手のひらで包んだ。
その手も、すごく気持ちよくて。
「ヤバい…」
「え?なにが?どうした?」
どうしよう…勃った
どうしよう…出したい…
でも、自分の手はだるくて動かない。
先生の手を、掴んだ。
そのままお湯の中に入れて、自分のを握らせた。
「お…大野っ!?」
「出したい…」
「えっ!?」
「扱いて。櫻井、先生」
目がぼやけてて。
頭もぼーっとして。
夢の中に居るみたいだった。
夢じゃないってわかってても、でも半分まだ夢なのかもしれないって思ってて。
先生に触って欲しくて、我慢できなかった。