第6章 幻月
なんで…先生が謝ってるんだろ…
なんで……俺、先生の家、居るんだろ…
「智…」
カズヤが呼ぶから、また目線を向けた。
泣きそうな顔、してて…
それにほっぺたが腫れてる。
もしかして…和也さんに殴られた…?
「俺、智のこと…友達だと思ってるから…」
え…?
「だからさ…今度、家出したくなったら、俺んち来たらいいよ…」
カズヤの…家…
「俺、親に捨てられて、一人暮らしだからさ。遠慮すんなよ…?」
カズヤ…
「あ、パパのことだったら大丈夫。智に会ったことあるし?全然平気だと思うよ…だから…」
きゅっと口を閉じると、真剣な顔になった。
「だから…しんどくなったら、言えよ…?」
…うん…
わかった…
カズヤの泣きそうな顔みてたら、心底心配してくれてたのが伝わってきて…
…ありがとう…カズヤ…
「…今度、俺のママに会わせてやるよ…智きっとびっくりするよ…」
パパの他にママもいるのかよ…
どんだけ…
カズヤ…
寂しかったんだろう
「カズヤ…顔、腫れてる…」
「ん?これ…?ふふ…名誉の負傷」
「え…?」
「あの童貞のちっこい先輩さあ…また殴られてたから、俺、助けに入っちゃった!」
「…カズヤが…?」
「智の真似しただけだよ」